2011年 10月 16日
島尾敏雄展....講演(桐野夏生)....ファミリーのトークショー |
このところ少し私の心は曇り空。
こんな時は家にこもっているとろくなことはない。
さぁ 外へ出ようとでかけた結果、収穫のある数日間になった。
土曜日は友にさそわれ『DAYS フォトジャーナリズム写真展』にでかけ
昨日はかごしま文学館で開催されてる島尾敏雄展の関連イヴェントで
桐野夏生さんの講演会と島尾伸三さんファミリーのトークショー。
日曜日はリニューアルされた文学館にでかけ 島尾敏雄展を鑑賞。
桐野夏生さんは 講演のテーマを『島尾敏雄の戦争体験と3.11以後の私達』にかえ、2011.3.11以後多くの人がそうであったように自分の世界がかわった、これは私たちにとって戦争体験に匹敵するようなものとメディアの問題にもふれながらなかなか示唆にとんだ力強い話をされた。
そして第二部が 家族でトークショー『敏雄とミホの思い出を徒然なるままに・・』
これがとてつもなくおもしろかった。
家族とはもちろんおふたりの息子である写真家の伸三さん、パートナーでやはり写真家の潮田登久子さんそして敏雄さんたちには孫にあたるしまおまほさん(漫画家・エッセイスト)。
はじめ敏雄ミホ夫妻と家族の写真をみながらのお話だったが それぞれの話がそのままエッセイになるような話のかずかず。
主には登久子さんがはなされるのだが 時々入る伸三さんまほさんの間の手もあってまるで漫才のよう。
飄々とした伸三さん鋭い観察眼と知性ある登久子さんポップで楽しいまほさん、個性ある三人のお人柄が浮き彫りになって私は笑い転げていた。やはり芸術家の(広辞苑によれば小説も言語芸術)二人の血をひいたやはり彼らも芸術家 ファミリーなんですね。
ユニークそのもの。
両親の家にいっても一言も話さない伸三さんのこと。なくなられたマヤさんととっても仲のよかったまほさんのこと。
ミホさんがなくなられた後の膨大な不思議なもの、もの、ものの話。
たとえば羽毛布団が出来そうなほど ティッシュペーパーに一枚一枚つつまれ日付までついたインコのはねの話。
敏雄さんの話よりも ちょっとかわっててでもどこかかわいらしいミホさんの話が多かったようなでも楽しい楽しいお話だった。
自分に都合の悪い話になると「次の写真!」といっていた(これもおかしかったが)伸三さんの最後の言葉『島尾ミホがいて島尾敏雄があったと思う。希有な夫婦でいつまでも恋人であったが故にこなれた夫婦にはなれなかったがあれで良かったのだと思う。子供にははなはだ迷惑なことだったが』が心に残った。
そして次の日は島尾敏雄展 膨大なごみのようなものの下からでてきたまたまた膨大な敏雄氏の日記の数々。
ちっちゃなちっちゃな字でよくもこんなに日記が書けたものだと思うしまたこれを読んで資料としてまとめ展示会までこぎつけた方々の努力に頭が下がる。
時代を追って氏の文学者としての流れ 交流のあった人たちなどを知れたことも面白かったし、ミホさんがすてて、ないと思われていた「死の刺』の頃のひきちぎられた日記の残片が妙に生々しかった。 本意ではなかった芸術院会員になり自己嫌悪におちいるくだりも興味深かった。
実は『死の刺』は映画で観ただけ。
考えてみたら島尾敏雄の本はまだよんでないことにきづく。
これを機会に次は島尾敏雄の本読んでみよう。会場で立ち読みしていたまほさんのエッセイもとってもおもしろい、これも読まなきゃ。
読みかけの本もあるし 読書の秋もいそがしいそがしだ。
島尾敏雄展は11月13日まで。文学館。向田邦子展もあってます。
DAYSフォトジャーナリスト展は明日(火)までマルヤガーデンズです。
by mount22
| 2011-10-16 23:31
| 本